III‐6曲げ加工時のR指定について

曲げ角部にR指定がある場合、そのRに合わせて金型を製作するか、細かく少しずつ何度も曲げてR形状に近付けるやり方で加工しなければならず、どちらにしても非常にコストがかかります。

Rの指定をなくし最小Rにするか、または自社(協力工場)の既に保有しているR金型のR寸法に合わせることで、工数を削減することができコストダウンが可能となります。

金型を必要とする加工の場合、金型の有無がトータルコストに大きな影響を与えます。設計技術者はRの寸法を厳密に設定する必要のない場合は、保有のR金型にそって設計するか、寸法を指定しないことでコストダウンを実現できます。

III‐5曲げ構造採用時の穴位置設定のポイント

曲げ加工がある部品で曲げ位置の近くに穴がある場合、穴が変形してしまうことがあります。その場合には品質を確保するため曲げた後に、穴加工を行わなければならず、工程が増えコストアップしてしまう他、位置精度も悪くなります。

曲げ加工を行っても、変形の影響がない位置に穴を設けることで、材料切断時に穴加工もできるため、加工工程を省くことができ、コストダウンにつながります。

曲げ加工と穴や切欠の寸法計算は一般的にW>3tとなります(板厚によって前後します。)設計技術者は図面をかく際に上記公式を念頭において、穴や切欠を配置することが求められます。

III‐3カバー形状の見直しによる溶接工数の低減のポイント

カバー等の折り曲げを行った後の接し合う角部は、折り曲げた寸法や製品の強度に関係なく、溶接を行っていました。

板の端を折り曲げたカバー類の中でも、折り曲げの寸法が短い 場合や製品に強度を求められない場合、角部の合わせ部分の溶接を省いても剛性はあるため、品質と機能性を保つことができます。

カバーは溶接によって固定するものと考えられていますが、強度を求めない場合では、あえて溶接を省くことで製品のコストダウンを実現することが可能です。

III‐4曲げ構造による溶接工数の削減のポイント

短いフランジ構造において2つの鋼板の溶接による製作は歪み取りが発生し、工数の増大につながっていました。そのため、溶接構造から曲げ構造にしようと考えていましたが、短いフランジの高さがV溝に比べ短いため、曲げ加工をすることができませんでした。

短いフランジを溶接構造にて製作する場合でも、フランジの曲げ後の高さ寸法をH>6×t(板厚)にすることで、溶接構造から曲げ加工によって実現することができます。溶接から曲げ加工にするとサイクルタイムを短縮することができ、コストダウンを実現できます。

設計技術者は曲げ加工におけるV溝とフランジの高さの公式であるH>6×t(板厚)を覚えておくことで、短いフランジを溶接ではなく、曲げ加工によって製作する図面を適切にかくことができ、製品のコストダウンをすることができます。

III‐2板厚の統一によるコストダウンのポイント

複数の板厚で構成される場合、その板厚の種類の数だけ分割加工しなければならず、その後の溶接箇所も増えてしまいます。その結果、コストアップとなっていまい外観や寸法精度も悪くなります。

同じ板厚で構成できれば、曲げ構造の一体物で製作することができるため、溶接箇所を減らすことができます。その結果、コストダウンができる他、外観や寸法精度も良くなります。

複数の鋼板で構成される製品の場合、全ての板厚を統一することで曲げ構造で製作できることがあります。そうすれば溶接工程を省くことができ、大幅なコストダウンを実現することができます。