設計技術者に求められる加工技術の重要性

部品加工における3つの加工方法

部品加工には代表的な加工方法として、【板金加工】、【切削加工】、【樹脂加工】と3つに分類することができます。私たちが身近に手にする家電製品や携帯電話やOA機器などはこれらの加工によって作られた部品によって構成されています。それぞれに特徴があり、設計技術者は製品を設計する際に、どの加工方法が最適かを考える必要があります。

【板金加工】

板金加工とは、金属製の板を切断・曲げ・溶接・塗装することで製品を製作する工法です。金属の板で折り紙をしているイメージになります。最近では切断、曲げの工程において、NC機械によって数値制御する加工が主流となってます。板金加工は比較的ローコストで品質の安定した金属部品の製作ができることから、部品加工の中心的な加工方法となっています。

【切削加工】

切削加工とは工作機械内に取り付けられた切削工具を使用して、加工対象物を切り削りすることで製品を製作する工法です。切削加工の方法は大きく2種類あり、刃物を固定し、材料を回転させて加工する方法と、材料を固定し、刃物を回転させて加工する方法があります。切削加工の最大の特徴は、加工後の製品寸法を高精度に仕上げることができる点です。

【樹脂加工】

樹脂加工とは射出成形機による押し出し成形と工作機械による切り削り加工の2種類があり、ローコストで精度をそれほど要求されない場合は射出成形機になり、加工精度を求める場合は工作機械による切り削り加工になります。樹脂加工の射出成形による製品の製作は金額的にもローコストに仕上げることができるため、量産部品の製作に多く採用される工法となります。

加工別のコストについて

板金:27% 樹脂:48% 切削:10% その他:15%

左記図は、生産台数が100台~10万台/月の家電製品やOA事務機器を対象に調査した、機械系部品の加工別コストです。
家電製品やOA機器の製品の製作コスト割合は板金加工が27%、樹脂加工が48%、切削加工が10%、その他が15%との結果になっています。設計技術者が設計段階からのコストダウンを実現するためには、板金加工と樹脂加工の設計方法の知識を身につけることが有効であるといえます。

出典:日刊工業新聞社出版 ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で「即戦力」

 

設計技術者は製品設計をするにあたり、[板金加工][切削加工][樹脂加工]から最適な工法を選択します。製品に最適な加工方法を選択することはもちろんのこと、その加工方法ごとに設計段階からのVA/VEによるコストダウン設計を実施することが求められます。